「『生きる』教育」で変わる未来

要約・内容

虐待、暴力、貧困など、現代の子どもたちが直面する「人生の困難」。それらを解決するために必要な知識を学び、友だちと真剣に話し合うことで、安全な価値観をはぐくむことをめざす教育プログラムが、「『生きる』教育」です。
大阪市立田島南小学校で行われてきた「『生きる』教育」の取り組みについて、一般の人もわかるようにまとめられた本です。

感想

まず、新聞記者、教員、大学教授、社会福祉士など、多方面の方が執筆していることで、「『生きる』教育」プログラムの内容がわかりやすいです。
学校教育で実際に行われていることは、外から見るとなかなかわかりにくいものですが、新聞記者が書くことで、まるで授業に参加しているように読めました。

感想を一言でいうと、「これ、必要だろうなあ」です。
それぞれの教科、道徳や体育、情報教育などでも取り組んでいるとは思いますが、どうしても教科書の中だけのお話になってしまうところがある気がします。
この学校の取り組みでは、デリケートで学校では扱うのをためらってしまうような内容(たとえば家庭内暴力など)についても、周到に準備することで真正面から向き合い、子どもたち同士が話し合うことで、自分ごととして考えられるようになっていると感じました。

その分、先生方の本気度が試されるわけで、全国で同じような取り組みを行うのは簡単ではないと思います。でも、子どもたちが幸せにならないと、社会はよくなっていきません。
暴力やいじめに悩んでいる学校に限らず、このような教育が広がるといいなと思いました。

Amazon.comで詳細を見る
「『生きる』教育」で変わる未来ー 学校を子どもたちの「心の安全基地」に
大久保 真紀 (著), 西岡 加名恵 (著), 今垣 清彦 (著), 木村 幹彦 (著)/日本標準