学力喪失──認知科学による回復への道筋

要約・内容

子どもは驚異的な「学ぶ力」で言語を習得しますが、学校では多くの子どもたちが学力不振に陥り、学ぶ意欲を失ってしまいます。
なぜ子どもたちは「学ぶ力」を、学校で発揮できないのか。「生きた知識」を身につけるにはどうしたらよいのか。言語学者によって、認知科学の観点から述べられている本です。

感想

子どもの読書に関心があったので、下記のような記述になるほどと思いました。

「毎日必ず○分読書」のような強制的な読着はかえって逆効果である。大事なのは読みを始める前に本の魅力を知り、本が好きになること、ことばに興味をもつことである。

・読むことは運動能力である。熟達にはたゆまぬ訓練が必要だ。
・読むことは自分のスキーマで行間を埋めながら、書いてあることの「意味」を解釈することだ。
・読むことは、自分の視点から離れ、他者の視点で世界を捉えることだ。
・読むことは、作者の視点で作者の意図を読み取り、理解し、それを超えて自分の知識と思考を拡張することだ。

読書をすることが、子どもの学力向上につながるであろうということは、多くの人がなんとなく感じていると思います。それを言語化してもらった感じです。
つまり、思考する力が読むことによって養われるということなんだなと思いました。そして、そのためには読む「練習(訓練)」も必要ということです。
しかし、強制的であってはだめで、本を好きにならなければならない。つまり、子どもの読書に関わる立場としては、本の楽しさを感じさせる工夫が必要なんだなと再認識しました。

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学力喪失──認知科学による回復への道筋
今井 むつみ (著)/岩波新書