絵本とは何か──起源から表現の可能性まで

内容

美術・絵本評論家や美術館館長として長く絵本に関わってきた著者が、絵本の起源や歴史、代表的な絵本の表現技巧や可能性について幅広く語る本です。

感想

「絵本が好き」という大人の人に会うと、なんとなく違和感を覚えていました。絵本といってもいろんな絵本があるし、本のひとつの形態として、特別なものと思っていなかったからです。
ですが、本書を読んで、絵本というのは本とは違う、ひとつの表現方法のジャンルなんだと少しわかった気がします。

名作絵本とされる絵本が、なぜ名作とされているのか、その本の構成や内容の先駆的だった点など、絵本の歴史についての理解が深まります。後半は読み物としても面白かったです。

印象的だったフレーズです。

それ以上に求められるのは、学校教育の場での絵本の活用です。絵本の語る世界の豊かさを知った子どもにとって、絵本は卒業するのものではなく、成長過程においても、それぞれの年齢にふさわしい魅力的な絵本が身近に存在していることが大切です。

学校図書館にいる子どもを観察していると、学年が上がっても、絵本かそうでないかは関係なく、面白そうであれば借りていきます。大人の方も、「絵本は小さい子の読むもの」と区別せず(最近はあまりそういう風潮はないと思いますが)、絵本を含めたいろんなジャンルの本を手に取りやすい環境を作っていけるとよいのではないかと思いました。

子どもにとって、読む力がつくためにも、心の発達のためにも、絵本を読むという体験は大切です。
子どもに関わる大人は、ここで紹介されている絵本を一通り読んで知っておくと、絵本を見る目が育つのではないかと思いました。

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絵本とは何か──起源から表現の可能性まで
松本 猛 (著)/岩波書店