
内容
『スマホ脳』で現代社会に警鐘を鳴らしたアンデシュ・ハンセン氏の最新作です。
・ADHD傾向は実はみんなにある?
・なぜ飽きっぽいのに超集中もできる?
・食生活やしつけのせい?
・なぜクリエイティブだったり起業家向き?
・なぜADHDが増えている?
等について、生きづらさと捉えられがちなADHDの謎にポジティブに迫ります。
感想
ADHDの特性がどのように強みとなるのか、具体的な例を交えながら解説されています。
特に興味深かったのは、気が散りやすいという特性が、実はクリエイティブな発想力の源泉になっているという点です。絶え間なく湧き出る思考の流れの中から、ユニークなアイデアが生まれるメカニズムが、科学的知見に基づき説明されています。
現在の日本の教育現場では、協調性や集団行動が重んじられる傾向にあると思います。しかし、ADHDと診断される特性を持つ子どもたちが、その「困った点」と見なされがちな面を、才能として伸ばせるような環境があれば、すばらしい可能性が生まれるのではないかと思いました。
本書は、ADHDの特性を単なる「障害」としてではなく、創造性や集中力といった強みとして捉え直すきっかけを与えてくれます。ADHDの傾向は誰にでも多かれ少なかれ存在するので、これは私たち全員が気づいておくべきことだと思います。
学校や社会への提言、そしてADHDの人向けの具体的なライフハックも紹介されており、当事者だけでなく、教育者や保護者など、いろいろな人におすすめの一冊です。
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多動脳:ADHDの真実 (新潮新書 1085)
アンデシュ・ハンセン (著), 久山 葉子 (翻訳)/新潮社