
内容
「最近の若者は本を読まない」のは本当なのか?
「中高生に読まれている本」の綿密な調査と分析を通し、十代の読書の実態を検証している本です。
感想
中学生にどんな本をすすめればいいのか?
この本を手に取ったきっかけは、「中学生にどんな本をすすめたらいいか、正直わからない!」という悩みからでした。
いわゆる「読み継がれてきた名作」はすすめられますが、今の子どもに刺さる本がなんなのか、自分のアップデート不足を感じていたのです。
著者の分析がすごい
この本で特に興味深かったのは、ネットやスマートフォンの登場で本離れが進んでいると思いがちですが、高校生以上の書籍の不読率や読書量は、実は大きくは変わっていないという調査の分析です。
また、この本が他と一線を画しているのは、著者自身が中高生に現在読まれているベストセラーや話題の本を実際に読み込み、内容まで詳細に分析・類型化している点です。
私も、彼らに本を勧めるには「まずは自分で読んでみないと!」と思い、ある程度は人気の本を追っているつもりです。しかし、次々と生まれる話題作すべてに追いつくのは至難の業。しかも、小学生向けの本であればわりとすぐ読めますが、中高生向けとなると時間もかかります(それでも面白ければいいのですが、面白いと思えないときもあり…)。
それを著者の方が読み込み、さらに内容を類型化しているところが、すばらしかったです。
読めない人もいる
一方で、本書を読んで改めて心に留めておきたいと思ったのは、障害や特性によって、いくらがんばっても「読めない人」「読みたくない人」がいる、という事実です。すべての人が「読書好き」になるべきだと押し付けてはいけません。
でも、読むことには練習が必要です。面白いと感じられる本、読みやすい本からステップを踏んでいく必要があります。だからこそ、面白い本をすすめることをあきらめてはいけないとも思いました。
まずは自分で読んで、聞いてみる
今後の行動としては、次の2点をやってみようと思いました。
・人気のある本は、まずは自分でも読んでみる。
・本人たちに「今、何が読みたい?」「最近、何か面白いもの見つけた?」と直接聞いてみる。
「読書離れ」なんていうウソに惑わされず、中高生が感じる「面白い」本との出会いをサポートすることが、大人の役割なのだと思えた一冊です。
中高生と関わるすべての方、そして「最近の若者は何を読んでいるのだろう?」と疑問に思っている方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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「若者の読書離れ」というウソー中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか
飯田 一史 (著)/平凡社



