【相談室】子どもの筆圧が弱いです

小学校3年生女児の保護者です。特別支援学校に通っています。最近、ひらがなの読み書きはできるようになってきましたが、筆圧が弱く、ふるえるような細い線になってしまいます。スピードもゆっくりです。お絵描きや塗り絵などは好きで、絵の筆圧はそれほど弱くないので、場面による鉛筆のコントロールが難しいのかなとも思います。鉛筆の握り方も正しくないのですが、あまりうるさく言うのもどうかと思っています。

いるか先生
いるか先生

鉛筆で文字を書くときに、筆圧が弱かったり強かったり、上手に鉛筆を持てなかったりするお子さんも多いですね。どのような支援が考えられるでしょうか。

発達段階を確認しましょう

特別支援学校に通うお子さん、年齢が小さいお子さんに関しては、本人が文字を書きたいと思っているかどうかをまずは観察しましょう。お絵描きや塗り絵は力を入れて書けているということですので、まだ文字の前の段階であることも予想されるからです。描線の練習などをしながら、文字学習の段階に進むまで待つ視点も大切です。
線の練習などは進めていて、そろそろ文字に挑戦させてみたいと思われる段階でしたら、お子さんが興味を持っているキャラクターやテーマのものを学習の材料にするなど、教材の工夫が大切だと思います。スモールステップでお子さんの意欲や自信を伸ばしていきたいものです。

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姿勢を確認しましょう

書く意欲や自信が持てないと、座る姿勢が崩れたり、鉛筆を正しく持てない場合もあります。正しい姿勢を取れていないと、左右の手が自由に動かず、力が入らない場合もありますので、学習の時に座っている椅子や机が体のサイズにあっているか、足の位置は正しい位置なのかなどをまずはよく観察しましょう。
椅子に座っている時に、足の裏が床にぴったりと着いていて、ひざが90度に曲がっている姿勢が理想です。お尻が滑って姿勢が悪くなっている場合は、滑りにくいマットやクッションを座面に敷くと姿勢をキープしやすくなります。
あまり厳しくするのは意欲をそいでしまうので注意が必要ですが、書きやすい姿勢を意識して机や椅子を選ぶことでお子さんが取り組みやすくなる場合もあります。

支援グッズの利用

また、ご心配されているように、鉛筆の持ち方を繰り返し修正したりすると、お子さんの書く意欲をそいでしまうこともあります。そこで、持ち方を矯正するようなグリップや、三角鉛筆などを使用するのも1つの方法です。特別支援教育関係ではなくても、子ども用の文房具としてかわいらしい様々な種類が販売されていますので、お子さんと一緒に選ぶのもよいかもしれません。
さらに、鉛筆を4B、6Bなど芯の柔らかいものに変えるのも有効な場合があります。弱い力でも濃い文字や線が書きやすい下敷きも売られています。
このような支援のためのグッズを上手に利用しながら、お子さんに無理のない課題設定で自信や意欲を上手に育てていきましょう。

正しい持ち方を練習できる鉛筆用グリップ



まとめ
  • 文字を書く意欲は持っていますか? 発達段階を確認しましょう。
  • 姿勢や鉛筆の持ち方は正しいですか? お子さんの様子をよく見てみましょう。
  • 支援グッズなども活用しながら、書くことに対する自信や意欲を育てていきましょう。
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公認心理師,臨床心理士。博士( 教育学)。療育支援センター等で心理士として勤務し,発達障害児者の診断,療育,保護者の相談などを担当。幼稚園,保育園,学校,特別支援学校の巡回相談にも携わる。

松尾麻衣先生著、小池敏英先生監修の新刊書籍です。画像から外部サイトにリンクします。