【相談室】なかなか丸をもらえません

小学校1年生男児の保護者です。通常学級に通っていますが、ADHDの傾向があります。
学校で、ひらがなのプリントを学習しているのですが、先生の丸つけがきびしく、お手本通りに書けていないと家で書き直してくるように言われ、泣きながらしぶしぶ書いているような状態です。たしかに、先生のご指導のおかげで丁寧に書くようになってきたので、こういう指導法も必要なのかもしれませんが、辛そうで勉強を嫌いになってしまわないか心配です。先生にお話しした方がいいでしょうか。

いるか先生
いるか先生

小学校の文字の学習には書写の指導の側面もあり、とめはねなどを丁寧に指導する先生もいらっしゃいます。でも、学校の先生の指導方針に対して、保護者が何か言ってもいいのか、不安になりますね。どのような対処が考えられるでしょうか。

早めに先生に相談しましょう

文字の読み書きは小学校1年生で始まって、長く続けていかなくてはいけません。また、一度付いてしまった学習への抵抗感は拭うことが難しいことが指摘されています。
お子さん本人が学習によって苦痛を感じているようでしたら、ぜひ担任の先生に相談してみましょう。

その際には、現在の子どもの家庭での学習の様子を伝えた上で、先生の指導方針を否定するのではなく、家でどのように指導していったらよいか相談したいという姿勢でお話するのがよいでしょう。先生も、保護者の方に協力してほしいと思っています。子どものよりよい成長を願う気持ちは先生も保護者も同じですので、コミュニケーションをとっていくことが大切です。

幼い子どもは大人の指示を命令のように聞いてしまうので、苦痛でも学習をすることがありますが、精神的に大人になってきて大人の指示に反発するような段階になると、苦痛を伴う学習は拒否することが増えてしまいます。早めにご相談して、学習の量や課題の調整をしていくことが必要かもしれません。

認知の特性にあった学習が必要です

子どもの認知の特徴によっては、文字を複数回書いて練習させるより、1回か2回、丁寧に間違えないように書く方が定着につながる場合があります。
学校は子どもに合理的配慮(障害特性や困りごとに応じて行われる配慮のこと)を提供することが求められています。学校が支援の方法を知らない場合もあり、すべて先生任せにはできないところもあるかもしれませんが、先生と保護者と相談しながら、お子さんがやりやすい方法を見つけていけるといいですね。

まとめ
  • 子どもが学習に対して苦痛を感じている様子であれば、早めに学校の先生にご相談しましょう。
  • 子どもの認知の特徴にあった学習方法を工夫したり、学習の量を調整したりしていきましょう。
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公認心理師,臨床心理士。博士( 教育学)。療育支援センター等で心理士として勤務し,発達障害児者の診断,療育,保護者の相談などを担当。幼稚園,保育園,学校,特別支援学校の巡回相談にも携わる。